2011/02/23
【蕎麦学入門】
第1話 「蕎麦という作物」
蕎麦はタデ科に属する作物です。
稲、麦、粟(あわ)、黍(きび)、稗(ひえ)、蜀黍(もろこし)(高黍)などの主要な穀物は、
イネ科の作物であるのに対し、蕎麦は少数派です。
ところが、ソバを日本語では蕎麦、中国では莽麦、英語ではBuckwheatと書きます。
いずれも麦の一種であるという表記は、世界で最も生産量が多い小麦と同様に、
ソバが重要な穀物だという認識に基づいています。
日本における蕎麦に関する文献資料は養老6年(722年)の『続日本記』が最初です。
しかし、島根県頓原町では1万年前、また高知県佐川町では9300年前のソバの花粉が発見されています。
このソバは野生のものか、半栽培かはっきりしませんが、5千年前の縄文中期には焼畑耕作が営まれ、
ソバが作られていたと考えられます。
いずれにしてもソバは日本最古の作物です。
2300年前の弥生時代からの稲よりも、はるかに長い歴史を持つソバは、
日本人の食生活と深くかかわってきたのです。
前監査役 市川健夫
日穀製粉株式会社 社内報『にっこくだより』連載記事「蕎麦学入門」