2011/04/25
【蕎麦学入門】
第2話 「そば焼餅」
縄文中期(4千〜5千年前)の井戸尻遺跡(富士見町)から澱粉質の炭化物が出土しています。
在野の考古学者として著名な藤森栄一は、縄文のパンといっています。
その澱粉質はドングリの実か、焼畑で作ったアワ・キビ・ソバなどの穀物であるか分かりませんが、
1万年前から存在したソバの調理法は、灰の中で焼いた焼餅のようなものであったに違いありません。
オリエントやヨーロッパ諸国におけるパンは、17世紀までイースト菌を用いず、
主原料は小麦ではなく、大麦を煮て半ば液状化したものを丸めて焼いたもので、
日本における焼餅と同様なものでした。
小麦やそばの焼餅は、ともに落葉広葉樹の落葉を炊いて、その灰で焼いたもので、その味は格別です。
特に長野県川上村の「カシャッパ餅」はそば粉に味噌漬けやサンショウを混ぜ、柏の葉で包んで焼いたもの。
また信州南部、遠山郷ではサンマを3センチぐらいに切り、これを入れたそば焼餅が名物になっています。
前監査役 市川健夫
日穀製粉株式会社 社内報『にっこくだより』連載記事「蕎麦学入門」