29. 一茶の句はキャッチコピーだった?
- 「信濃では月と仏とおらが蕎麦」は、
本当におらが一茶の句だったか? - 信濃の柏原宿(現信濃町)の農家に生まれた俳人小林一茶(1763~1827年)。一茶といえば「信濃では月と仏とおらが蕎麦」の句が浮かびますが、実はコレ、一茶が詠んだ確証はありません。これは一茶の「そば時や月の信濃の善光寺」の句をまね、後の人が信州そばのPR用に創作したいわばキャッチコピーで、これが一茶の句として一人歩きしたようです。一茶の他のそばの句は「雪ちるやお駕にはこぶ二八そば」「国がらや田にも咲きするそばの花」「江戸店や初蕎麦がきにはかま客」「しなの路やそばの白さもぞっとする」など意外に都会的で洗練されており、田舎育ちの素朴な一茶のイメージにはむしろ「信濃では~」の句がしっくりくるのが不思議ですね。
- (2004年11月掲載)
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