31. ところ変われば器もちがう
- ざるやセイロばかりじゃない、器だってお国自慢。
- 全国にお国自慢のそばが数あるように、その器も様々。まずは但馬(兵庫)のご自慢「出石そば」。江戸時代中期より出石の城下町で作られている美しい白磁の皿を五枚使います。越後(新潟)の「へぎそば」、羽前(山形)の「板そば」のへぎや板とは木箱のことで、細長い木箱に波紋のようにそばを並べます。朱塗りの丸い三段重を使うのは出雲(島根)の「割子そば」。対馬(長崎)では同じセイロでも、小指程の太さの竹を割らずに編んだ大胆なセイロを使います。岩手名物「わんこそば」は花巻に立ち寄った南部家第二十七世利直公にたまたま椀でそばを出した折、それを大変気に入りおかわりしたのがはじまりとか。長門(山口)では瓦そばという瓦の上で茶そばを焼くという変り種も。いずれの器もそれを使うに至った物語とともに、お国自慢のそばを支える大切な存在です。
- (2005年2月掲載/2017年3月更新)
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